神奈川県の木のこと。森のこと。vol.2
「平成27年度新たな木材需要創出総合プロジェクト事業」として採択された、湘南ボードの「神奈川県産材ツーバイフォー木材流通体制構築事業」について、綴っていきます。
Vol.1では、事業を立ち上げるまでの背景を綴りました。
Vol.2では、どうしたらうまく、神奈川の木の需要を生み出し、安定的な供給をはかれるのか。地産地消できるよう、循環させるしくみづくりをつづっていきます。
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神奈川県の木の地産地消を目指すには、需要と供給を循環させること。なぜ今できてきないのか、まずは問題点の洗い出しから行っていきます。
神奈川県の林業、そして流通、需要への問題点は?
神奈川県の林業の問題点
担い手不足、事業量不足、収支悪化。森林組合の体制も弱体化、などが挙げられます。
事業量が増えないのは、大規模な需要がないから。
では、大規模な需要を増やすには?
多くの木材が必要なのは、木造住宅や建物。大きな建物は、それなりの年月もコストも必要で、需要が定期的にあるとは限らない。けれど、住宅なら?年間○棟もの新築木造住宅が建てられている神奈川県。しかも湘南地域の木造住宅への需要は増加傾向。
では、湘南で県産材の住宅を増やせばいい!
しかしここで問題なのは、主たる湘南で建てられている住宅が、ほとんど在来工法であること。在来工法は、様々な寸法の建材が必要になるので、量産やストックができません。つまり、効率よく木材をカットして置いておくことができないため、必要になったときにすぐに出荷できない。供給ができないのです。
ここで登場するのが2×4工法。2×4工法に使う2×4ランバー材なら、同じ寸法でできているので、量産もできます。
2×4住宅で神奈川県の2×4ランバー材を使った家を建てればいいじゃない!
また問題の登場です。日本国において、2×4工法の住宅に使用できるのは、JAS認定2×4部材および、同等レベルと認定された木材のみ。JAS認定2×4部材を生産できるのは、認定許可を得た製材所のみ。神奈川ではその製材所が存在しません。なので、神奈川の木を伐採しても、JAS認定工場まで木を運び、製材して、また持ってかえってくる、ということしかできません。地産地消にならないのです。返ってコストが高くなり、量産も難しいでしょう。